本「45510」の考察まとめ

「45510」は、人気作品『推しの子』の世界観を深く掘り下げる小説です。

物語の中心となるのは、アイドル・アイの過去と彼女を取り巻く人々の心理です。

本作を読み解くことで、アイの内面や彼女を支えた人々の複雑な感情が浮かび上がります。

今回は、その中から特に重要なポイントを考察していきます。

目次

考察① アイの心境と「白米」の意味

「45510」では、アイが過去のライブ配信で視聴者の質問に答える様子が描かれています。

彼女は明るく振る舞いながらも、質問に対してどこか慎重な姿勢を見せていました。

その中で特に注目したいのが、「嫌いな食べ物は?」という質問への回答です。

アイはこの問いに対し、少し困った様子を見せながら「白米が苦手」と答えました。

この言葉の背景には、彼女の幼少期に受けた母親からの虐待が関係しています。

母が投げたグラスの破片が白米に入ってしまったことがトラウマとなり、

アイは白米を食べることに強い抵抗を抱くようになったのです。

このエピソードは、アイが表面上は明るく振る舞っていても、

過去の傷が深く彼女の中に刻まれていることを示しています。

彼女の笑顔の裏には、他人には簡単に理解されない痛みが隠されているのです。

考察② 「好きな人」の定義とアイの人間関係

アイはファンから「好きなタイプは?」と聞かれた際、

「私を怒らない人」と答えています。

さらに、「私は自分のことが好きな人が好き」とも発言しました。

この言葉からは、彼女が人との関係をどのように捉えていたのかが読み取れます。

アイは、自分を好きだと言ってくれる人を受け入れる一方で、

自分から誰かを好きになることはありませんでした。

この姿勢の背景には、過去の経験からくる「人を信じることへの恐れ」があります。

彼女は人の好意を素直に受け入れつつも、

相手の本心を完全には信じられずにいたのです。

しかし、物語が進むにつれ、アイの心境には変化が現れます。

彼女は次第に、本当の自分を理解してほしいという気持ちを抱くようになります。

それでも「本音を話して嫌われたくない」という不安も捨てきれず、

彼女は長い間、自分の本当の気持ちを押し殺して生きてきたのです。

考察③ 「45510」に込められた意味

物語の中で、アイが所属していたグループ「B小町」のブログのログインパスワードが

「45510」であることが明かされます。

この数字の並びは、当時のB小町のメンバーである「高嶺」「愛」「渡辺」の頭文字を

ガラケーの文字入力方式で変換したものです。

さらに、アイの秘密の携帯のパスワードも「510」でした。

これは、アクアやルビーという彼女にとって重要な存在に関連する数字であり、

アイが大切な人とのつながりを強く意識していたことを示しています。

また、作中では「45510」のパスワードを入力することで

非公開の記事が見つかるシーンがあります。

そこには、アイがB小町のメンバーと仲直りしたいと願っていたことや、

グループ内の関係を修復しようとしていたことが綴られていました。

過去のライブ配信では「本音を話して嫌われたくない」と語っていたアイでしたが、

このブログの内容からは「本当の自分を知ってほしい」と願う気持ちが伝わってきます。

つまり、アイは少しずつ変わろうとしていたのです。

彼女は勇気を持ち、自分の気持ちを素直に伝えようとするようになっていました。

まとめ

「45510」は、アイというキャラクターの内面を深く掘り下げる物語です。

彼女の過去、他者との関係、そして成長の過程が細かく描かれています。

幼少期の経験から生まれたトラウマや、

人を信じられないという葛藤があった一方で、

彼女は少しずつ変化し、誰かを信じる勇気を持ち始めていました。

また、作品全体を通して「アイは完璧な存在であるべき」とする周囲の期待が、

彼女をどれほど追い詰めていたのかも浮かび上がります。

彼女のファンや仲間でさえも、

アイに「弱さ」を求めることはなく、

理想的な姿を押し付けていたのです。

しかし、アイはそんなプレッシャーに負けることなく、

本当の自分を理解してほしいと願うようになりました。

この変化こそが、彼女の成長の証であり、

「45510」に込められたメッセージなのかもしれません。

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